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金型屋が本気で検証する3Dプリント試作⑤ (R7.5凹み形状はどこまで再現できるか)

R7.5凹み形状で見る曲面精度と積層段差の考え方
本記事は「金型屋が本気で検証する3Dプリント試作」シリーズの第5回です。
第4回では Φ15 内径に注目し、内径が縮みやすい理由とその捉え方について解説しました。
今回は、▢30 × 高さ20mm に設けた R7.5 の凹み形状を題材に、
曲面形状における積層段差と、設計としての割り切り方について考えます。
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曲面は「3Dプリントらしさ」が最も出る
R形状や曲面は、3Dプリント試作において
* 見た目の評価
* 触感の評価
* 意匠の確認
といった点で重要な要素です。
一方で、FDM方式では
積層段差が最も目立つ形状でもあります。
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今回の評価条件
今回確認したサンプル条件は以下の通りです。
* 形状:▢30 × 高さ20mm
* 加工部:R7.5 凹み形状
* 造形方向:積層条件として不利な向き
* 材料:PETG / PETG-CF
これまでと同様、
「一番きれいに出る条件」ではなく、
あえて厳しい条件で造形しています。

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実物から見える曲面の段差
実物を見ると、
* R形状に沿って積層段差が確認できる
* 段差のピッチは積層ピッチに依存
といった特徴がはっきり分かります。
これは造形不良ではなく、積層方式そのものの結果です。
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CF入り材料で変わる見え方
PETG と PETG-CF を比較すると、
* PETG:段差が光を拾いやすい
* PETG-CF:マット調で段差が目立ちにくい
という傾向が見られました。
CF入り材料は、
見た目の評価において「段差を隠す方向」に効く材料と言えます。
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金型設計との共通点
金型設計でも、
* 曲面は磨き工程が増える
* Rが小さいほどリスクが高い
といった判断を行います。
3Dプリント試作でも同様に、
> 曲面はそのまま評価しない
という割り切りが必要です。
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試作で見るべきポイント
R形状の試作では、
* R寸法そのものよりも形状の連続性
* 意匠として許容できるか
* 後加工が必要かどうか
といった点を見ることが重要です。
「段差がある/ない」ではなく、設計判断に使えるかが評価基準になります。

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まとめ:曲面は“再現性”を見る
R7.5 凹み形状の評価から分かるのは、
* 積層段差は必ず出る
* 材料で見え方は変えられる
* 設計として割り切る必要がある
という点です。
3Dプリント試作における曲面は、
完成品を作るためではなく、判断材料を得るための形状だと考えています。
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次回予告
次回は、今回までのサンプル全体を振り返り、
「3Dプリント試作をどう仕事に使うか」
という視点で整理してみたいと思います。
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※本記事は「金型屋が本気で検証する3Dプリント試作」シリーズの第5回です。