INFORMATION

金型屋が本気で検証する3Dプリント試作③ (Φ30円柱で分かる円筒精度の限界)

Φ30円柱で見る円筒精度と材料差(PETG / PETG-CF)
本記事は「金型屋が本気で検証する3Dプリント試作」シリーズの第3回です。
第2回では ▢30 立方体を用いて、材料ごとの収縮傾向を確認しました。
今回は、Φ30 の円柱形状を例に、3Dプリント試作における円筒精度と材料差について検証します。
**********
円柱形状はなぜ重要か
円柱形状は、金型設計・製品設計において頻出する基本形状です。
* ボス
* シャフト
* 嵌合部
など、多くの機能要素が円筒形状で構成されています。
その一方で、円柱は
* 真円度
* 造形方向による潰れ
* 積層痕の影響
が出やすく、試作段階で必ず確認しておきたい形状でもあります。
**********
今回の評価条件
今回評価したサンプルは以下の通りです。
* 形状:Φ30 円柱、同心でΦ15の穴
* 材料:PETG / PETG-CF
▢30立方体と同様、
条件を揃えた上で材料差がどのように現れるかを確認する目的で造形しています。
**********
実測から見える円筒精度の傾向
設計値 Φ30 に対し、実測では以下のような傾向が見られました。
* PETG:寸法にややバラつきが出やすい
* PETG-CF:寸法が比較的安定
特に円柱形状では、
* 積層方向と直交する方向
* 周方向
で、わずかな潰れや楕円傾向が出ることがあります。
今回のサンプルでは、PETG-CF の方が
円筒形状としての安定性が高い結果となりました。
PETG

**********
なぜCF入り材料は円柱に強いのか
CF(カーボンファイバー)入り材料は、
* 剛性が高い
* 冷却時の変形が抑えられる
という特徴があります。
そのため、円柱のように
* 周方向に均一性が求められる形状
では、寸法の再現性が高くなる傾向があります。
これは、金型設計における
* ガラス入り材料での成形
* 無充填材料との差
と非常によく似た考え方です。
**********
円筒精度と「用途」の関係
ここで注意すべき点は、
円筒精度が高い = すべての用途で最適
ではない、ということです。
3Dプリント試作では、
* 形状確認
* 組付け確認
* クリアランス検討
といった用途が主になります。
そのため、どの精度が必要かは用途によって変わるという前提で評価する必要があります。
**********
金型化を前提とした評価視点
金型設計を前提に考えると、
円柱形状で注目すべき点は、
* どの方向に潰れやすいか
* 再現性はあるか
* 設計で吸収できるか
といった点です。
3Dプリント試作は、金型でのリスクを事前に想定するための材料として活用できます。
**********
次回予告
次回は、Φ30 円柱と同時に造形した **Φ15 内径** に注目し、
内径寸法が縮む理由と、その捉え方について解説します。
**********
※本記事は「金型屋が本気で検証する3Dプリント試作」シリーズの第3回です。