金型屋が本気で検証する3Dプリント試作② (▢30立方体で見る材料収縮の考え方)
▢30立方体で見る材料収縮の考え方(PETG / PETG-CF)
本記事は「金型屋が本気で検証する3Dプリント試作」シリーズの第2回です。
第1回では、なぜ積層条件として不利な向きで試作を行うのかという考え方について書きました。
今回は、評価用に作成した ▢30 の立方体を例に、材料による寸法差・収縮傾向を確認していきます。
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なぜ▢30立方体を最初に見るのか
立方体は非常に単純な形状ですが、試作評価では多くの情報を与えてくれます。
* XYZ 各方向の寸法精度
* 角部のダレや丸まり
* 収縮の方向性
* 材料差の出方
金型設計においても、これらは
* 収縮率設定
* 冷却バランス
* 後工程での調整余地
を考える上で、最初に確認すべきポイントです。
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今回の造形条件と材料
今回の評価では、以下の条件で造形しました。
* 形状:▢30 立方体
* 造形方向:積層精度が出にくい向き
* 材料:PETG / PETG-CF
いずれも、あえて条件を揃えた上で材料差がどう出るかを確認することを目的としています。
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実測結果について
設計値 ▢30 に対し、実測値はおおよそ以下の範囲となりました。
* PETG:29.8mm 台後半
* PETG-CF:29.8〜29.9mm 程度
PETG_XY測定


PETG_Z測定

PETG-CF_XY測定


PETG-CF_Z測定

いずれの材料でも、設計値よりわずかに小さくなる傾向が確認できます。
ここで重要なのは、
* 数値の絶対値
* カタログスペックとの差
ではありません。
本評価は精度保証を目的としたものではなく、材料ごとの収縮傾向を把握するための試作評価です。
どの材料が、どの程度、どの方向に収縮するかを把握できることが重要です。
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PETG と PETG-CF の違い
今回の結果から分かるのは、
* PETG:若干バラつきが出やすい
* PETG-CF:寸法が安定しやすい
という傾向です。
CF(カーボンファイバー)入り材料は、
* 剛性が高い
* 反りが出にくい
といった特徴があり、
その分、寸法の再現性が高くなる傾向があります。
これは金型設計における
* ガラス入り材料
* 無充填材料
の違いと、考え方としてはよく似ています。
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「設計値と違う」ことの捉え方
試作評価でよくある誤解が、
> 設計値と違う = 失敗
という捉え方です。
金型設計の視点では、
* どの程度ズレるか
* それは再現性があるか
が分かれば、設計や金型で十分に対応可能です。
3Dプリント試作は、その判断材料を得るための工程と考えています。
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金型化を見据えた試作として
▢30立方体のような単純形状であっても、
* 材料の違い
* 造形条件
によって、結果は変わります。
だからこそ、試作段階であらかじめ傾向を掴んでおくこと**が重要です。
これは、
* 金型を作るべきか
* 3Dプリントで対応すべきか
を判断する材料にもなります。
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次回予告
次回は、同じサンプルの中から Φ30 円柱を取り上げ、
円筒形状における精度・材料差について検証します。
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※本記事は「金型屋が本気で検証する3Dプリント試作」シリーズの第2回です。