金型屋が本気で検証する3Dプリント試作④ (Φ15内径はなぜ縮むのか)
Φ15内径はなぜ縮むのか ― 内径寸法の考え方
本記事は「金型屋が本気で検証する3Dプリント試作」シリーズの第4回です。
第3回では Φ30 円柱を例に、円筒形状における外径精度と材料差について検証しました。
今回は、同時に造形した Φ15 の内径に注目し、
3Dプリント試作で内径が縮みやすい理由と、その捉え方について解説します。
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内径はトラブルになりやすい
3Dプリント試作において、
* シャフトが入らない
* 想定した嵌合にならない
といった相談の多くは、内径寸法に関するものです。
外径と比べて内径は、
* 仕上がりが読みにくい
* 補正の考え方が分かりにくい
という特徴があり、試作段階での確認が特に重要になります。
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今回の評価条件
今回確認したサンプル条件は以下の通りです。
* 形状:Φ30 円柱(Φ15 貫通穴)
* 材料:PETG / PETG-CF
外径評価と同様、
条件を揃えた状態で内径がどう変化するかを確認しています。
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実測結果から見える傾向
設計値 Φ15 に対し、実測ではおおよそ以下の傾向が見られました。
* 実測値は 14.9mm 前後
* 材料による大きな差は出にくい
外径とは異なり、内径は材料差よりも造形方式そのものの影響を強く受けることが分かります。
PETG

PETG-CF

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なぜ内径は縮むのか
内径が縮む主な要因は、以下のような点にあります。
* 押出幅が理論値より太くなりやすい
* 積層時の樹脂のだれ・盛り上がり
* 冷却時の収縮が内側に効く
これらはプリンターの調整不良ではなく、
FDM方式の構造的な特性です。
そのため、
> 内径は縮む前提で使う
という考え方が重要になります。
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金型設計との共通点
この考え方は、金型設計でも共通しています。
* ボス側は細くなりやすい
* 穴側は締まりやすい
といった経験則を、設計段階で織り込むのと同じです。
3Dプリント試作でも、寸法がどうズレるかを理解した上で設計することで、
評価の精度は大きく変わります。
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試作で見るべきポイント
内径評価で重要なのは、
* どの程度縮むか
* 再現性があるか
* 設計補正で吸収できるか
といった点です。
「設計値通りに出るか」よりも、設計判断に使える情報が得られるかを重視しています。
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まとめ:内径は“結果”より“傾向”を見る
Φ15 内径の評価から分かるのは、
* 内径は外径よりも不安定になりやすい
* 材料差より方式差の影響が大きい
という点です。
これは試作の失敗ではなく、設計判断のための重要な情報です。
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次回予告
次回は、▢30 × 高さ20mm に設けた R7.5 凹み形状を例に、
R形状・曲面における積層段差と、その割り切り方について解説します。
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※本記事は「金型屋が本気で検証する3Dプリント試作」シリーズの第4回です。